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天草 晴菜 / Haruna Amakusa

ライフストーリー

1993年生まれ、横浜市出身。

母子家庭の一人娘。母からの愛情と期待を一身に背負って育った天草は、ギリギリの成績で合格した私立の中高一貫校に通っていた。何者でもない自分が何者かになるために、高校一年生の時に美術の先生に進路相談をしたところ、日芸大のことを教えてもらった。その後訪れた日芸大の芸術祭では、たくさんの学部が作品を発表する中、天草の目に留まったのは、カンボジアの地で力強く生きる人たちの写真だった。気づけば両目から溢れるほどの涙がこぼれていた。

「写真はこんなにも人を感動させることができるのか」

その日以来、芸大を目指すことになった天草は、エントリーシートに書く将来の夢を探すためインターネットで片っ端からフォトグラファーを調べていった。そうしてたどり着いた、ある一人のウェディングフォトグラファーのウェブサイト。そこで目にしたのは、全く知らない人の、全く知らない結婚式。「それなのに、私はどうしてこんなにも感動しているんだろう?」カンボジアの写真を見た時の衝撃に似た感覚だった。

いてもたってもいられず、そのフォトグラファーが代表を務める写真事務所に連絡すると、会ってもらえることになった。都内の古いマンションの一室をオフィスにした、アシスタントと二人だけの小さな事務所。天草はあたたかく迎え入れられ、時間を忘れてウェディングフォトについて話し込んだ。それが、クッポグラフィーとの初めての出会いだった。

それから数年が経ち、天草は念願の芸大生になっていた。充実した学生生活を送る一方で、自分に18歳差の妹ができたことをうまく受け止めきれずにいた。そんな折、3歳の妹の七五三撮影でクッポグラフィーのスタジオを訪れることになった。

気の進まない状態で臨んだ撮影は、天草にとって人生が変わる体験となった。妹と一緒の撮影は、想像していた何倍も楽しかった。妹と一緒に笑っている写真は、今では宝物だ。自分のことを理解しようとしてくれる人たちに写真を撮られながら、天草はどこか自分の存在を肯定されているような気がした。クッポグラフィーの撮影を通して、天草は初めて自分の境遇と新しい家族の形を受け入れられた。

大学を卒業後、クッポグラフィー初の新卒として迎えられた天草は、今ではクッポグラフィーのフォトグラファーを引っ張る存在だ。自分が写真を通して救われたように、撮影を任せていただくすべての家族やカップルに、その存在の尊さを感じることのできる写真を届けていきたい。

プロジェクト

誰の人生にも寄り添えるフォトスタジオであるために

「医療的ケア児とそのご家族も、当たり前のように自分たちの素敵な家族写真を持っている世の中にしたい」

天草が現在取り組んでいるプロジェクトは、4p-症候群を患うきほのちゃんファミリーとの出会いから始まりました。

ポートフォリオ

ファミリー

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