誰の人生にも寄り添えるフォトスタジオであるために

こんにちは、フォトグラファーのこまちです。

先日、4歳のお誕生日を迎えた大好きな希帆乃(きほの)ちゃんと出会って、たくさん教えてもらった大切なことをお話ししたいと思います。この場を借りて、私の熱い想いを語らせてください。

 

私たちが加藤ファミリーと出会ったのは2017年の9月。撮影のご予約をいただいた時でした。

希帆乃ちゃんは、4p-症候群という病気と闘っている3歳(当時)の女の子。

「希帆乃の"今"を、3歳まで一生懸命生きた証を、しっかり残してあげたい」

希帆乃ちゃんのお母さんのありささんから聞いたこの言葉。そして、聞いた時の気持ち。今でもはっきりと覚えています。

こんなに大事な撮影を私たちにお任せしていただけたこと。そして、はじめましての私たちにお話ししてくれたこと。そのことが本当に嬉しくて、「私たちにできることがあるのなら何でもしたい、何でもするんだ」とその時、自分の心の中で決めました。

「娘は染色体異常をもって生まれてきて色々な合併症があり、3歳になった現在座位ができず、身体も小さく、まだまだ赤ちゃんに間違われがちです。ですので、いわゆる一般的な三歳の七五三とは違うこともあり、撮影が可能かどうかご検討頂けますでしょうか」

ありささんからお問い合わせをいただいた時、お断りする理由は一つもありませんでした。

着付けを担当するヘアメイクアーティストのめぐにも相談し、「一緒に素敵な写真を残そうね。頑張ろうね」と誓いました。

ご予約をいただいてから、希帆乃ちゃんは何度か体調崩してしまい、キャンセルすることもありました。しかし、その後もありささんと連絡を取り続け、ずっと会いたかった加藤ファミリーにようやくお会いすることができました。2017年10月のことでした。

加藤ファミリーのみんなは、お会いする前から素敵なご家族なんだろうなとドキドキしていたのですが、実際にお会いしたらもう本当にあたたかく素敵すぎる方々で。

みんな、とにかく希帆乃ちゃんのことが大好き!

「こちらを見てください」とお声がけしても、ずっと希帆乃ちゃんのことを見ていて、愛がいっぱい伝わってきました。

希帆乃ちゃんの手を、パパの手が優しく包み込む

優しいお姉ちゃんの、希乃羽(ののは)ちゃんと。

希帆乃ちゃんは、ののちゃんがいればずっとニコニコ。ののちゃんも希帆乃ちゃんにべったり。希帆乃ちゃんから離れようとしないんです。そんな姿も微笑ましくて。

撮影中はとにかく家族みんな、希帆乃ちゃんへの愛が溢れていました。ずっと希帆乃ちゃんのことを気にしているので、カメラ目線の写真を撮るのが大変でした(笑)

 

希帆乃ちゃんの七五三撮影後、ありささんからお礼のメッセージをいただきました。 

こちらでご紹介させてください。

今日はありがとうございました!

今日は私たち家族にとって記念すべき日になりました!

希帆乃との毎日は当たり前ではなく奇跡で。 

生まれてから今日までいつ何があってもおかしくない日々を過ごしてきました。諦めなければならないこと、我慢しなくてはならないことがたくさんだった我が家に、今日という日が光をくれた気がしました! 

もしよければ Facebookや Instagramにぜひ今日のすてきな写真を載せてください!

こんな風に生きている子がいる。 我が子のような子たちだって、こんな風に写真を撮ってもらえて、かけがえのないひと時を写真という形に収めていただける。 

普通にできることが当たり前にできない我が子たちに希望を与えられたらなと。

お家に閉じこもりがちな、わたしたちのような家族に「こんなことできるよ!」と一つのきっかけとして伝えられればと思いました!

今日はほんとうにありがとうございました。

そんな言葉たちすべてが大切で、嬉しくて…

スタジオのSNSで希帆乃ちゃんの記事を書いて、たくさんの方にお届けしました。リアクションもいつも以上にいただき、その時、加藤ファミリーのみんなの笑顔が頭に浮かんで。

たくさんの方々に加藤ファミリーと私たちの想いをお伝えできていたらいいなと、心から願ったのでした。

2018年2月、センター北駅でクッポグラフィーの写真展を開催した時に、希帆乃ちゃんたちの写真を展示させていただきたい旨をお伝えしたら、ありささんとののちゃんで見に来てくださり、4ヶ月ぶりの再会。嬉しかったな…

そして3月には、ののちゃんの卒ともフォトの撮影で、お友だちと一緒に遊びに来てくれました。

ののちゃんはお友だちといる時、ちょっとおふざけした男子たちに「ちゃんとして〜!」とその場をまとめ
て、私たちのお手伝いをたくさんしてくれて、とても頼もしかったです。

さすが加藤ファミリーの長女。

リニューアル前の旧横浜港北スタジオにて撮影

その日の撮影後、ありささんから、翌月の希帆乃ちゃんの誕生日に家族写真を撮影してもらえないかというお話をいただきました。もちろんすぐに、お任せくださいとお伝えしました。

希帆乃ちゃんは入院中だったので、「病院にある桜の木の下でみんなで楽しく写真を撮りましょう」とお約束しました。ただ、手術前のため調子がよくないと外出ができないという条件があり、当日にならないと撮影ができるかわからないという状況でした。

ありささんから「やはり直前のキャンセルはこまちさんのお時間を頂戴してしまいますし、避けたいので、また落ち着いたらロケーションフォトお願いしたいと思うのですが、よろしいでしょうか?」というご連絡をいただきました。

私は「本当にいつでも、どこへでも、私は希帆乃ちゃんのところに行きたいと思っています。一瞬でもどこかで会えそうでしたら、いつでもどこへでも呼んでくださいね」とお伝えしました。

希帆乃ちゃんの大切な4歳のお誕生日。希帆乃ちゃんの今を残したいという気持ちは変わるわけがなく。折れるつもりも全くありませんでした。

私の気持ちがありささんに伝わり、希帆乃ちゃんの様子をみてご連絡いただくことになりました。

そして撮影日当日。

無事に病院から外出の許可が出たと聞いて、急いで病院まで駆けつけました!

その日は暖かくて、風も気持ちよくて。咲いていた桜の花びらが綺麗に散り始めている頃でした。

すごく久しぶりの外出だった希帆乃ちゃんは、とても楽しそうで…

入院生活が続いてしまっているけど、お外に出れて本当によかった。今はね、希帆乃ちゃんが生まれた季節。桜が綺麗な春だよ。

大好きなトット(パパ)と、桜の下で。このトットのデレデレ笑顔が大好きなんです。希帆乃ちゃんも幸せそう。

風が強かったので、この日は桜吹雪に期待していました。いつ来るかな〜ドキドキ。と。

「奇跡起きて〜」と願っていると、トットが一人でいる時に、一番の桜吹雪がきたんです。

風さん、い、いまなの!?笑

みんなで大爆笑。トットも思わず春を感じるポーズ。

 

大好きなママと。背景の桜吹雪がキラキラ!希帆乃ちゃんも春を感じているように見える。

春。気持ちいいね。

HAPPYBIRTHDAYのシールはいつもお世話になってる看護師さんが書いてくれたそうです。凝っていてとってもかわいい…希帆乃ちゃんは本当にみんなに愛されているな。

ののちゃんとの姉妹ショットで、希帆乃ちゃんは突然のかわいいポーズ。ののちゃんも久しぶりに大好きな希帆乃ちゃんとお外で遊べて、楽しそう。

 

最後は家族みんなで。

希帆乃ちゃんの体調も考慮して、20分間という限られた時間の中での撮影でしたが、みんなで楽しく遊んだり、ハプニングがあって一緒に笑ったり。幸せが詰まった時間を写真に撮ることができました。

いつお会いしても加藤ファミリーのみんなは本当にあたたかくて。いつもたくさんの優しさをくれる大好きなご家族です。

限られた時間内での撮影だったので緊張していた私に、ののちゃんが手を差し伸べてくれました。

「何ともないよ」って顔を頑張ってしてみたのですが、手を繋いだ瞬間から涙を堪えるのに必死でした。

ののちゃんありがとう。

希帆乃ちゃんは4年前、トット、ママ、ののちゃんのいるご家族を選んで生まれてきたんだろうな。希帆乃ちゃんはこんなに素敵なご家族に出会えて本当に幸せだろうなって。

希帆乃ちゃんたちのために私たちにできることがあるなら、これからも何だってしたいと心から思います。

希帆乃ちゃんに出会ってから、気づいたことがあります。

「写真を撮りたい。撮らなきゃ」と感じた"今”、写真を撮ることに意味があるんだということ。

いつか、ではダメなんです。

希帆乃ちゃんは"今”という時間を、一生懸命生きています。

当たり前のようにやってくる毎日ですが、大切な人たちと楽しく過ごせることは、決して当たり前のことではありません。何かが起きてしまってからでは遅いのです。

それは誰にでも、自分にも置き換えられること。

大切なことをいっぱい私たちに教えてくれた加藤ファミリーのみなさん。

写真に残すことをとても大事にしてくれていて、私たちに時間を作ってくれて。

そんなみなさんに出会えたこと、本当に本当に幸せです。いつも、本当にありがとうございます。

もしこの記事を読んでくださっている方の中で、何かのご病気だったり、不自由があったり、他の子と同じことができなかったり、あるいは病気でなくても何かしらの事情があって、周りの目が気になってフォトスタジオに行くことに抵抗があったりして、

「写真はしっかり撮りたいんだけど…」とお悩みの方がいらっしゃいましたら、諦めずに、ぜひ一度私たちにご相談ください。

そんなお悩みを抱えている方々のために、私たちにできることであれば、どんなことだってします。なので、いつでもご連絡くださいね。

私たちは、誰の人生にも寄り添えるフォトスタジオでありたいと思っています。

写真・文:天草 晴菜(こまち)

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