筆談から始まった、撮影の日──言葉を越えて、心がつながる撮影時間

 
 

ユニバーサル撮影と聞くと、「子どものためのもの」というイメージを持たれる方も多いかもしれません。

けれど、写真撮影にハードルを感じる理由は人それぞれ。


「うまく伝えられるだろうか」「迷惑をかけてしまわないだろうか」

そんな不安を抱えたまま、一歩を踏み出せない方も多くいらっしゃいます。

今回お話を聞いたのは、聴覚障害のあるご夫婦、りょうさんとまゆさん。
家族の一員である2匹の猫たちと一緒に撮影されたご感想を伺いました。

「ここなら」と思えた、はじまりの一日

主なコミュニケーション方法は、手話と筆談。

撮影となると、そのことが大きな不安でした。


「フォトグラファーさんと、どうやってやり取りすればいいんだろう」

「やり取りがうまくいかなくて、気まずい時間になってしまったらどうしよう」

そんな思いから、写真撮影に前向きになれずにいたといいます。

それでも結婚をきっかけに、「今のふたりを、きちんと残しておきたい」と思い、スタジオ探しを始めました。

いくつものスタジオを見る中で目に留まったのが、自然体で、ありのままの姿が写るクッポグラフィーの写真でした。


「ここなら、自然体な撮影をしてくれるのかもしれないと思いました」

そして迎えた撮影当日。

受付で名前を伝えると、スタッフが自然に筆談で対応してくれました。

「こちらから筆談をお願いする前に、当たり前のようにやってくれたことが、本当に嬉しくて」

日常の中では、筆談をお願いすると戸惑われ、断られてしまう場面も少なくありません。

だからこそ、その最初のやり取りが、大きな安心につながりました。

「特別に配慮されているというより、障害があることを理解した上で、一人の人間として自然に向き合ってもらえていると感じました」

 


日常の延長にあった撮影時間

 
 

撮影は、猫の写真からスタート。

猫の性格や出会いについて話しているうちに、 “写真を撮られる”という意識は、少しずつ薄れていきました。


「ここはスタジオですか?家ですか?そう思うくらい、日常の延長のようでした」


はじめのうちはジェスチャーや音声認識アプリ(音声を文字起こしにするスマホアプリ)を通して、無理のないコミュニケーションが続いていきます。

カメラに目線がほしい時には、スタッフがさりげなくサポートし、撮影していきました。

撮影の終盤、ふたりだけのカットになる頃には、緊張もすっかり解けていました。


写真が、言葉にできなかった気持ちを残してくれた

 

撮影中、こんな問いかけがありました。


「相手の好きなパーツはありますか?」


好きなところに触れながら、 なぜそこが好きなのかを話す―― 

その瞬間を、写真に残してくれていました。 


「あとから写真を見返したとき、胸がじんわり温かくなったんです。 10年後、20年後に見ても、 “あの時、こんな会話をしたな”ってすぐに思い出せそうだなって」


言葉だけでは残らなかった気持ちが、 写真として、確かにそこにありました。

「またこの人たちにお願いしたい」と思えた理由

 
 

「スタジオ撮影の後、結婚式当日も同じフォトグラファーさんが撮影をしてくれたんです」

聴覚障害のある友人やゲストが多い結婚式。

事前に顔を知っているフォトグラファーがいることは、大きな安心材料だったといいます。

「初対面のフォトグラファーさんだったら、きっと緊張してしまっていたと思います。 でも、“ふうかさんなら大丈夫”と思えたんです」

特に印象に残っているのは、 両親への感謝を伝えるシーン。

「ふうかさんが、もらい泣きしながらシャッターを切っていて(笑) 両親も『あのカメラマンさん、すごく泣いてたね』って驚いていました」

黒子のような存在だと思っていたフォトグラファーの、 人情あふれる姿。

「この人たちに、これからも家族の節目を撮ってほしい」 そう自然に思えた瞬間でした」


撮影に来てくださる理由や、不安の形は、本当に人それぞれです。

 だからこそ私たちは、「特別なこと」をするよりも、 その方がそのままでいられる時間を、一緒につくりたいと思っています。

 この日の撮影も、 ふたりがふたりらしく過ごす時間に、そっと立ち会わせてもらった。

 そんな感覚が、今も残っています。

インタビュー日
2025年6月

 
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