Shape of family, shape of love.

坂本 楓花 / Fuka Sakamoto

ライフストーリー

1992年、北海道生まれ。

転勤族の父のもと、全国を転々とする子ども時代。教室の隅で一人、静かに絵を描く時間が好きだった。形や色に向き合うと、世界を自分だけの中に閉じ込められる気がした。

社会人になり安定した事務職に就きながらも、写真への憧れは消えなかった。そんなときに出会った一枚の結婚式の写真。大切な人を思い涙するゲストの姿が写されていて、気づけば自分の目にも涙が溢れていた。

「自分もこんな感動を届けたい」

そう強く思い、ウェディングフォトの世界に入ることを決意した。

ある結婚式の撮影。新婦の父は会場に来られず、別室からオンラインで参加していた。モニター越しに娘を愛おしそうに見つめる姿を前に、「自分が撮らなければ、この人の存在は誰にも見てもらえない」と強く思った。写真が人の一生を左右することを全身で感じた瞬間だった。

撮影を通してたくさんの家族の形を目にする中、ふと、自分の家族写真がほとんどないことに気がついた。

このままだとこの先きっと後悔する。そんな思いで、正月ですらめったに集まることのない家族を説得し、坂本はクッポグラフィーで写真を撮ってもらうことにした。

撮影中、フォトグラファーが母に「娘さんはあなたにとってどんな存在ですか?」と尋ねたときの、母の口から出た言葉が今でも忘れられない。

「宝物です。生まれたとき、宝石のようだと思いました」

仕上がった写真には、宝石を見るように自分を見る母の眼差しが写っていた。それは、今まで撮影してきたたくさんの家族の形とはまた違う、自分たちらしい家族の形だった。

家族の数だけ異なる家族の形があり、そのどれもが優劣なく美しい。そしてそれは、ふとした表情や、ほんの些細な仕草に現れると坂本は信じている。

これからも坂本は、自身の原体験をもとにその家族だけが持つ愛の形を撮影していく。

ポートフォリオ

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