子どもたちに「想像する楽しさ」を——オリジナル千歳飴袋に思いを込めて

クッポグラフィーでは、今年の6月から七五三撮影の記念として千歳飴をお渡ししています。その袋のデザインを担当したのは、デザイナーの青柳。​

​「子どもたちが手にして嬉しくなるものにしたい」​

​そんな思いから生まれたデザインには、たくさんの工夫とストーリーが詰まっています。​
今回は、その制作の裏側とデザインに込められた思いをご紹介します。​


青柳 由衣(あおやぎ ゆい)​

グラフィックデザイナー。武蔵野美術大学を卒業後、大手エンターテイメント企業にてCDジャケットやグッズの企画・デザインを担当。その後、チェコに留学し木彫作家に師事するなどアートの経験を積む。帰国後はオンラインストアのweb制作やバナー制作、美術大学での非常勤講師として学生指導も経験。2016年にクッポグラフィーへ入社し、現在はイベントや販促品の企画からパンフレット、パッケージ、web広告まで、クッポグラフィーのほぼ全てのグラフィックデザインを担当。 ​​


「子どもがもらって嬉しい」が、すべての出発点

千歳飴袋のデザインを考え始めたとき、青柳が最初に思ったのは「千歳飴は、親御さまからお子さまへのプレゼント。だからこそ、お子さまがもらって嬉しくなるようなデザインにしたい」ということでした。​

考案中の段階では、形や大きさなど、既存の千歳飴から連想しづらいものも面白いかなと、色々と考えたそう。​

しかし調べていく中で、長く七五三で贈られている千歳飴には、形やデザインなど一つ一つ大切な思いがこもっていることを知りました。​

伝統を、子どもたちの想像力でつなぐ

千歳飴は、江戸時代から親が子どもへ「長く、健やかに育ってほしい」と願って贈られてきた大切なもの。​その思いが込められた“長くて細い形”や、袋に描かれる”鶴や亀、松竹梅”といった縁起物には、深い意味があります。​

​青柳は、そうした背景や伝統を大切にしながらも、あえてリアルなイラストではなく、抽象的な表現に挑戦。​

「これはなにに見えるんだろう?」と、子どもたちの想像力を引き出せるような、クイズのようなデザインを目指しました。​

​制作中は、自身の子どもに「何に見える?」と聞いて反応を確かめながら制作を進めたそう。​すぐに答えられたら「もう少しわかりにくくしてみようかな」​と楽しみながら、デザインが形になっていきました。​

目立たせ過ぎずも、心に残る存在に

写真に映ったとき、あくまで主役はお子さま。​

だからこそ、着物や背景とぶつからず、馴染みながらもちゃんと存在感がある。そんな“名脇役”を意識してデザインしたといいます。​

「ただシンプルにするのではなくて、ちゃんと人の心に引っかかるものにしたい。クッポグラフィーらしい“遊び心”を忘れずに入れたい」と青柳は話します。​

細かい部分に集中していくなかでも「手にした時に、お客さまがどういう気持ちになるんだろう」と、何度も立ち返り考えることを大切にしてきました。​

一人の喜びを思い浮かべて

​「実際にお子さまが千歳飴を手にしている写真を見たとき、本当に嬉しくて、何度も写真を見返してしまいました」​

袋の取っ手から覗いていたり、思いもよらない使い方をしていたり。そんな自由な姿に思わず笑顔がこぼれたと話します。​

以前は、大手エンターテイメント企業などで“大勢に届ける”デザインを手がけていた青柳。
クッポグラフィーに入ってから変わったのは、「目の前の一人に向けたデザイン」を意識するようになったこと。​

「今は、どんなものも目の前にいる“誰か”を思い浮かべながら作っています。
クッポグラフィーの仲間たちが、日々一組一組のお客さまに丁寧に向き合う姿を見ているこそ、自分もデザインを通してお客さまへ寄り添いたいと自然と思えるようになりました」​

千歳飴袋の小さなデザインの中には、伝統と、想像の楽しさ、そして主役であるお子さまへの思いがぎゅっと詰まっています。​

七五三撮影の際には、どうぞ思いのこもった千歳飴袋にも目を向けてみてください。​

手に取ったとき、ふと心が温かくなるような、ささやかな仕掛けが詰まっています。



2025年7月11日

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