interview #1 - Syuhei Inoue

言葉にできない感情の揺らぎをもとらえ、人生の美しさを写真で伝えたい

前撮りにて

前撮りにて

Syuhei Inoue

 1987年生まれ、宮崎県出身。成人祝いに母親からカメラを渡されたことがきっかけで写真を始める。

 結婚式という新郎新婦のドラマを彩り豊かに、そしてその場の空気や雰囲気を生かして写真に写しとめることで、感動をより感動的に二人に届けたいと思っている。

【HISTORY】「美しいものを残したい」という思いが、フォトグラファーとしての原点

母にもらった初めてのカメラで撮った写真。夢中でシャッターを切った。

母にもらった初めてのカメラで撮った写真。夢中でシャッターを切った。

  本格的なカメラに初めて触ったのは成人式のとき。当時学生だった僕に、母がデジタル一眼レフカメラをプレゼントしてくれたのがきっかけでした。当時よく撮影していたのは江ノ島の海。空に浮かぶ雲、それを映して光る海面の美しさに魅せられて繰り返し撮ったのを覚えています。3ヶ月ほど経ち撮影した写真が600枚を超えたころ、「プロのフォトグラファーになろう」と決めました。卒業後は写真スタジオで腕を磨き、フリーランスとして独立。アパレルECショップの撮影、建築や映画のスチール撮影など幅広い仕事を経験した後、2012年頃からはウェディング撮影をメインで行っています。当初は「革新的でクールなウェディングフォト」を目指しアート性の高い作品を追求していたのですが、最近は見た目の美しさだけでなく、新郎新婦のお二人の「感情の揺らぎ」を写真で表現することを重視するようになりました。前撮り時も含め、結婚式ではお二人の中に言葉にならないさまざまな感情、感動がこみ上げるものだと思います。その心の動きを美しく写しとることが、僕のウェディングフォトグラファーとしてのポリシーです。

 

【POLICY】希望と夢に満ちた人生の素晴らしさを、写真を通じて感じてほしい

お互いを思いあってハグをする新郎新婦。常に被写体に思いを馳せながら撮影をしている。

お互いを思いあってハグをする新郎新婦。常に被写体に思いを馳せながら撮影をしている。

新婦のお父さんがコレクションしてきた腕時計をつけての一枚。

新婦のお父さんがコレクションしてきた腕時計をつけての一枚。

 よく「結婚式の写真って、二、三回は見るけどあとは押入れにしまっちゃうよね」という話を聞きます。それはフォトグラファーが、現場にあったたくさんの素敵なものを見逃してしまっているから。僕が撮りたいのは、見るたびにお二人が「ああ、私たちはこんなにたくさんの素敵な人に支えられ、祝福され、結婚生活を始めることができたんだ。私たちは、こんなにも希望と夢にあふれたすばらしい人生を歩んでいるんだ」と気づくことができるようなウェディングフォト。そのためには技術を磨くだけではなく、お二人の感情が最も美しく現れた瞬間を写しとる必要があります。海辺や夕暮れなどの特別なロケーションがあればもちろん最大限にそれを活かしますし、会場内での撮影時も常に細部にまで気を配り、美しく感動的な写真を仕上げます。僕が仕事をする上でいつも一番大切にしているのは、「何かをいとおしいと思う感性」。僕自身がお二人の人生を心から祝福し、その魅力を残したいという思いが、写真にも表れるといいな、と思います。

 

 

【LIFE STYLE】プライベートのぶらり旅も、感性を磨く大切な糧

婚約者と海に遊びに出かけた時の一枚。

婚約者と海に遊びに出かけた時の一枚。

仕事を終えてのひと時。クッポグラフィーの仲間と一緒に。

仕事を終えてのひと時。クッポグラフィーの仲間と一緒に。

  最近の休日の過ごし方は、もっぱら婚約者との「ぶらり旅」です。たいていは、「今日は天気がいいからちょっとお出かけしようか」という気軽なものですが、ときどきは計画を立てて遠出することも。最近だと、僕の実家のある宮崎へ行きました。きれいな海の見えるホテルで何をするでもなくリラックスしていると、余計な考えが消えて自分にとって大切なことがわかってきます。「この人と一緒にいること、この人を幸せにすることが、僕の幸せなんだ」と。プライベートな時間は、あえてカメラは持ち歩いていません。純粋に楽しく生きることを大切にしています。でも、それが実は仕事に役立っているとも思います。たとえば彼女と一緒に過ごすとき、ちょっとしたしぐさ、表情、言葉、そして彼女が作り出す空間のことを「いいな」と思う。「いとおしい」と思う。その「いとおしい」感情こそ、写真を魅力的にする一番の原動力だと僕は考えています。腕のいい自動車写真のフォトグラファーが例外なく車好きであるように、ウェディングフォトグラファーにとっては「人が好き」であることが大事なんじゃないかな、と思います。

 

 

【MESSAGE】お二人の人生について、ぜひ聞かせてください

新郎から事前に相談を受け、新婦に内緒で計画したサプライズプロポーズのシーン。新郎新婦は、自分たちとってこれが一番価値のある写真だと話してくれた。

新郎から事前に相談を受け、新婦に内緒で計画したサプライズプロポーズのシーン。新郎新婦は、自分たちとってこれが一番価値のある写真だと話してくれた。

挙式が始まる前に、その場を離れる新婦にご両親が暖かい言葉をかけてくれた。家族を大切にする新婦のことを事前によく知っていたからこそ撮れた一枚だと言える。

挙式が始まる前に、その場を離れる新婦にご両親が暖かい言葉をかけてくれた。家族を大切にする新婦のことを事前によく知っていたからこそ撮れた一枚だと言える。

 僕は写真のプロですが、お二人の人生については全く知らない「素人」です。お二人のことをより深く知るためにも、可能な限り事前の打合せもしっかり行いたいと考えています。もしよろしければ、撮影の前にお二人の人生について思い切り話してください。たとえば、「ご来場のゲストの中に10年ぶりに再会する大切な親友がいる」「ご新郎が手作りしたアクセサリーをご新婦がつける」「大好きなお母さんとのツーショット写真は絶対に残したい」「二人の出会った場所で記念の写真を残しておきたい」――などなど、きっとお二人にしかない思いやこだわりがあるのではないでしょうか。お二人が大事にしているものを理解することが、きっとよりよい写真につながると思います。もし、素面で真剣な話をするのが恥ずかしければ、居酒屋でビールでも飲みながらお話ししましょう(笑)。挙式当日も、お二人やそのご家族と一緒に楽しい雰囲気を作りながら撮影するのが僕のモットー。写真の仕上がりはもちろん、「楽しい撮影だった」と言ってもらえるように頑張ります!